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2011年度 AAPB学会(米国) 参加後の志賀一雅博士インタビュー
今後の課題(アルファテック4)

今後の課題(アルファテック4)~ 今後、メンタルトレーニングや脳波の研究は、学会ベースでの活動ということになるのですか。たとえば日本とアメリカで、どうお考えでしょうか?

志賀 いやぁ・・あまり考えていませんが、せっかくここまで来たのだからもう少し「2名以上の脳波のシンクロ」に関する基礎的な研究と応用を積極的にやりたいですね。もちろん学会でも発表しますが、多くの人に伝えたいからイベントに参加したいと思っています。一般の方に役立ていただける機会がもっと増えればいいですよね。

~ 今回の研究が形となったのはアルファテックの「2名同時測定機能」だと思いますが、アルファテックに関する志賀先生の今後のビジョンをお聞かせください。まずはハード面の方はいかがでしょうか?

志賀 幸い大学の研究に使っていただいており、厳しい要求をいただいていますから、性能に関して立派なものになると思います。問題は値段ですよね。電子装置はなんでもそうですけが、たくさん造れば安くなる、いまのアルファテックⅣは一般の方には手が出にくい価格ですよね。たくさん造れば5万円とか3万円になる。これは卵か鶏みたいで、「ニーズがあるからたくさん造り安くなる」のか「たくさん造り安くなったからニーズが増えた」かですね。もちろん資本があれば間違いなく後者ですが。

~ なるほど

志賀 でもある意味で今の状態で良かったと思うは、まだ少量生産なので、それは言い換えれば時間が貰えているということです。だからハードもソフトもバージョンアップし、これで大丈夫だという段階で量産して、ニーズも高まるといいなと思っているんです。今はまだユーザーが少ないですから極め細かく対応できますし、大規模に売れてしまったらそうはいかない。

~ よくわかります。

志賀 これからがおもしろくなりますよね。親と子、先生と生徒、上司と部下などのコミュニケーションにおいて、気が合うというか、お互いの脳波がシンクロする必要がある。方法としてはメンタルウェルネストレーニングを実践し、アルファテックⅣのコラボセットで確認できますから。

~ 世界中で人気のあるipadとかスマートフォンの端末などにも対応できれば、より簡便に使えるのでは?

志賀 それは技術的には可能ですね。あとは開発にどの位コストをかけられるかで決まります.将来的には展開したいと思っています。

今後の課題(マインドセンサー5)

今後の課題(マインドセンサー5)~ では次にPCソフト「マインドセンサー5」についてお聞かせ願いたいのですが、2011年に入り新たな機能として「.csv」の変換機能が追加されバージョン1.121をリリースされましたが今後の展望などをお願いします。

志賀 もともとハードのアルファテックⅣとソフトのマインドセンサーⅤは、バイオフィードバック装置として提供したものですが、性能がいいものですから大学や企業の研究機関では脳波測定装置としてご使用いただいているようです。脳波測定器となると500万円から1,000万円もしますが、それと同じ性能を要求されてしまうのですよ。幸い1チャンネンルですが、性能は十分に満たしています。機能となると無理ですよね。いろいろ要求があって、それに応えていけば高機能になりますけど・・・。例えば、脳波データを保存するとき、「.org」というマインドセンサー特有のフォーマットにしていますが、大学や企業の研究所で独自に開発したプログラムでも使えるように、「.csv」という汎用フォーマットに変換できる機能や、逆変換できる機能も備えました。学生実験などに便利で喜んでいただいています。いま準備しているのはディジタルフィルターを組み込むことです。必要な周波数帯の信号だけを抽出することが可能になります。そうすれば動いているときや、作業をしているときの脳波も分析が可能になりますからね。とりあえずオプションの形で提供できると思います。

~ まずはマインドセンサーだけである程度対応出来るようにするのが今後の課題ですか?

志賀 そうですね、そうしたら少々筋電が混入しようと、接触が悪くて雑音が多くても綺麗に測ることが出来ると思いますね。それともう一つ何となく感じているのは7.8Hzのところに共鳴のスペクトルがある。アルファ波とシータ波の境界のところです。そこに生命体としての基本があるような気がしてならないです。例えば、鍼灸師さんと患者さんとの共鳴は7.8Hzですから、そこに何かがあると思います。7.8Hzが出るにはどうしたらいいかですが、無心で臨むのが一番です、いろいろ考えると高いヘルツの方にシフトしてしまう。何にも考えない、何にも感じない、さりとて寝ているわけではない。そういう状態を短い時間、数秒でいいんです。まさに瞑想状態ですよね、瞑想がうまくいくと7.8Hzが強く出てきます。その辺も究めたいと思っています。

医療とのコラボレーション

志賀 私は今までは健常者の脳力開発を対象としていたんですね。緊張したりアガっても能力が発揮できる状態にすることを目標としたんですね。でも、お客さんの中には欝とか病気を抱えている人が案外居ましてね、もちろんそういう人達の治療目的ではないんですけど、結果的には治ってしまう。だとするなら病気予防に役立つかも知れない。それはあくまでもお医者の仕事だから、お医者さんに役立ててもらえればいいんじゃないか思っています。

~ 同感です。

志賀 聞くところによると欝はほとんど薬物療法のようですが、なかなか治らない。だとしたら、認知行動療法である自律訓練法やバイオフィードバック法がいい。それにはメンタルウェルネストレーニングや脳波のバイオフィードバック法が最適だと思うんです。だから医療機関とのコラボレートも考えています。幸いご理解いただいている医師の方もおられ、双方に意義のある活動をご一緒できそうなので、今後の活動にプラスしていくことになりそうです。

アメリカ保健社会福祉省GOLD AWARD受賞について

~ 2011年3月に志賀先生はアメリカの大統領諮問機関である米国保健社会福祉省からGOLD AWARD(金賞)を授与され、関係者一同大いに盛り上がるとともに心から喜んでおります。関係者やファンの方々へのメッセージをお願いします。

志賀 そうですね、正直言うとあまり経緯が分からないですよね。何で私が選ばれたのかが分かりませんが、「アルファ波が注目すべき脳波の指標だ」と表明してから35年くらいになるんです。35年もやってますと見る人からすれば何かを感じたんでしょうね。この賞をいただくにあたり、昨年暮れくらいに打診がありました。ノミネートされていた。「この表彰を受ける気があるかどうか」と言うんです。理由を聞いたら、かなり前から脳波の研究やメンタルトレーニング実践に携わり、出版や学会などでも発表している、とエージェントから報告があってのことだそうです。誰か知りませんが、監視されているみたいですね(笑)。

~ 見る人は見ていると(笑)。

志賀 (笑)なんとなく釈然としないので、ニューオリンズの学会発表を含めて評価してもらえるのなら喜んでいただきますということにした。そして学会の発表も良かったということで授与されたんだと思います。まあ長いことやっていれば棒に当たるということですかね(笑)。

脳波とメンタルトレーニングの未来に向けて

メンタルウェルネストレーニング~ 志賀先生が新たに手がけられたメンタルウェルネストレーニングもそうですし、バイオフィードバックに関しても、過去にさまざま歴史がある中で現在に至るわけですが、それらを知らない方々には全く新しい提案に映ることと思います。そういう方々に向けて最後、志賀先生の活動のメインである脳波それからメンタルトレーニングという観点からメッセージをお願いします。

志賀 メンタルウェルネストレーニングはわずか3分でできるからぜひ広げて欲しいと思っています。

~ 全国で多くの方が指導者を目指し、講座を受講されています。

志賀 それは嬉しいですね。「トレーニング」ですから練習ですよね。だから日常生活のいろんな場面で取り入れてほしい、40種類を用意しましたが、その中の基本中の基本は寝る時に「よかった」と思って寝ること、朝起きた時は「よく寝た」と思って起きる、要するに満足感ですよね。脳は満足を求めて行動するような仕組みになっていますから、満足を感じないと歪(ストレス)が生じてしまう。まずは主観的な満足を満たすと、次第に客観的な満足を実現してしまう。
その上で、期待感をもって行動する。満足を得る期待です。そうすれば心も体も健康になります。

~ はい

志賀 ぜひ多くの方にメンタルウェルネストレーニングをご自分の物にしてほしいです。若干苦言を言わせていただくと、「紺屋の白袴」といいますか、指導される立場の方がご自身で実践し成果や喜びを実感していただかないと、うまくいきません。実践すればさまざまな問題が解決でき、目標は達成できるんです。それを強調したいですね。そして脳波は目に見える計測指標ですから活用してもらえればすごくいいなと思います。

~ そういう意味では脳波とバイオフィードバックはワンセットと考えたらよろしいでしょうか?

志賀 そうです。質問で「具体的にどうしたらいいんですか?」と聞かれたら即答するんですが、「もしお金があるのならバイオフィードバック装置をお求めください。装置だけあっても駄目だから、メンタルウェルネストレーニングのCDがあるから聞きながら練習してください」とお勧めしています。

~ (笑)今後の志賀先生の活動からいろんな意味で目が離せません。本日は貴重なお話をありがとうございました!

志賀 ありがとうございます。

インタビュー 斉藤義雄

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